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図書館のつぶやき

学生アルバイト含め図書館スタッフ約10名が交替で担当する本の紹介コラム、企画展示や各種イベントのお知らせなど、もろもろのご案内を掲載しています。

図書館スタッフ

北海道教育大学附属図書館釧路館のつぶやきです。

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2016年06月27日(月)

所蔵本の紹介:『文学のことば』荒川洋治著(2013年、岩波書店)

『文学のことば』は、詩人である荒川洋治が新聞や雑誌のために書いた文章に書下ろしを加えてまとめたエッセイ集です。

この本で特に楽しいのが、書下ろしの「文学のことばⅠ~Ⅲ」です。「小説も評論も詩も、文学のことばであることに変わりはない。区別しないで見ていく。」と宣言し、詩人らしい繊細な感受性で、日常の中で出会ったものの中から詩的なものを切り取っていきます。印象に残ったものをいくつか引用してみましょう。

                           ◇

黒田源次『司馬江漢』(東京美術・1972)。日本における洋風画の先駆者、司馬江漢についての研究書だ。箱にかけられた帯の文章(編集部がつくったもの)のことばに目をとめた。

洋風画・自然科学に没頭した異才の評伝

・・・(略)・・・目を引くのは、「没頭」という一語だ。没頭し、探求し、業績を残した、とまでは言わない。「没頭した」と、控え目にする。姿勢だけを示す。そこで止める。この感覚がいい。現実味がある。そのために、一文が輝く。

                           ◇

新聞記事の文章ほど、いいものはない。その簡潔さの味わいに、ためいきをつくことも多い。文章の典範である。
第三回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で三連覇をのがしたあと、侍ジャパンの主将、阿部慎之助選手の談話が各紙に掲載された。読売新聞(2013年3月19日)の見出しは「主将・阿部 結束力に誇り」、「一戦ごとにチームになった」である。この「一戦ごとにチームになった」に、ぼくは目をみはった。別に、という人も多いかもしれないが、新聞の見出しにしかみかけない語法だと感じたのだ。・・・(略)・・・「チームになった」はあまり使われないことばだが、「チームは一体になっていった」より印象が締まる。意味は同じだが味わいは高まる。わあ、いいなあ、と朝刊を見ながら思う。

                           ◇

いかがだったでしょうか。興味があれば、ぜひ読んでみてください。

                                    (学術情報グループ 前田和彦)