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『思い出のマーニー』
2019/12/26(Thu)
『思い出のマーニー』と聞いて皆さんが最初に思い浮かべるのは2014年に公開されたスタジオジブリの映画ではないでしょうか。この映画には原作があります。原題は『When Marnie Was There』、イギリスの作家、ジョーン・G・ロビンソンによる児童文学作品です。

マーニー

養い親のもとを離れ、海辺の村の老夫婦にあずけられた少女アンナ。孤独なアンナは、同い年の不思議な少女マーニーと友だちになり、毎日二人で遊びます。ところが、村人はだれもマーニーのことを知らないのでした。ある日、マーニーは、無人のさびしい風車小屋でアンナを置き去りにし、姿を消しました。彼女をさがすうちにアンナは、マーニーの思いがけない秘密を知りました。ドラマチックな体験をした思春期の少女の物語です。

この物語で注目すべき点は次の二つです。
①不思議な少女マーニーの正体とは?
アンナの前に突然現れ、アンナの初めての友達となり、突然消えてしまうマーニー。アンナはマーニーを空想の中の女の子なのだと思います。しかし物語の最後でマーニーの正体が判明します。
②孤独なアンナの成長
 アンナは自分のことを「目に見えない魔法の輪の外側にいる人」といい、周りの人と関わろうとしませんでした。他人はもちろん、養い親、実の家族さえも…しかしマーニーとの出会いをきっかけにアンナは変わり始めます。

 誰もがアンナと似た経験をしたことがあるのではないかと思います。アンナのような孤独も、マーニーのような友達の存在も…寂しい、疎外感を感じる、生きづらいと感じる、そのような人に読んでもらいたい心が温かくなる一冊です。
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「I Love Youの訳し方」 著:望月竜馬
2019/11/26(Tue)
図書館アルバイトのTです。今回は「I Love Youの訳し方」という本をご紹介します。

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日本で最も有名である文豪のひとり、夏目漱石が「I Love You」を「月が綺麗ですね」と訳した話を知っていますか?彼はかつて、英語の教師をしていました。ある日、生徒のひとりが「I Love You」を「我君ヲ愛ス」と訳しました。すると、漱石は「日本人がそんな台詞を口にするものか。『月が綺麗ですね』とでも訳しておけ。それで伝わるものだ」と言った、そんな逸話があります。
同様に、双葉亭四迷が「I Love You」を「死んでもいいわ」と訳した話も、漱石との対比としてよく挙げられます。いずれも都市伝説のようなものですが、「彼らなら本当にそんなことを言ってもおかしくない」、誰もがそう思ったからこそこれらのエピソードは伝説のように語り継がれているのではないでしょうか。
似たような意味の言葉がいくつも存在しているのが日本語の大きな特徴であり、魅力でもあります。日本語は時間や季節の移ろい、心情の変化に合わせて、細やかなニュアンスの違いを使い分けることができるのです。さらに使う人が変われば、表現の種類も無限に広がっていきます。
日々日本語に向き合っている作家たちなら、「I Love You」の一文をどのように表現するのか、知りたくありませんか?この本では、小説や詩、手紙の中から選りすぐりの100フレーズを「情熱的」「感傷的」「個性的」「狂気的」「浪漫的」の五つのジャンルに分けて紹介しています。いくつか内容を紹介します。

・「話したいことよりも何よりもただ逢うために逢いたい」(竹久夢二)
・「さようなら。もうお目にはかかりません。でも少しだけ、誰かのものになれてうれしかった」(江國香織)
・「たくさんのおんなのひとがいるなかで、わたしをみつけてくれてありがとう」(今橋愛)
・疲れた君がひたすら海を見るための小さな白い椅子でありたい」(斎藤芳生)

著者、望月竜馬さんが添えるコメントも楽しみながら、100人の作家による100通りの「I Love You」の訳し方に酔いしれてはいかがでしょう。普段何気なく使っている日本語が、今よりもっと好きになるはずです。
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「リバース」 著 湊 かなえ
2019/10/29(Tue)
だんだんと、肌寒い季節がやってきましたね。
図書館アルバイトのIです。本日はドラマ化作品をいくつも作り上げている著者湊かなえの「リバース」を紹介したいと思います!

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主人公である深瀬は事務機器メーカーに勤めるしがないサラリーマン。行きつけの店で美穂子と出会い付き合うことになりました。ある日、美穂子の職場に「深瀬和久は人殺しだ」という告発文が届いたのです。
真相を確かめると、3年前の旅行中に友人を事故で亡くし、その場にいた深瀬ら4人はその友人が飲酒運転をしていたことを隠し続けていたことを告白しました。
話を聞いた美穂子は深瀬の元を去り、浅見らにも告発文が届き事件が起こるのです。このように、現在と過去が往復するように話が展開されていきます。
登場人物の視点から3年前の事件を解き明かしていくスタイルは著者の特徴でもあると言えます。
内容でも理解しにくい表現は特にないため、読みやすい作品です。
私自身コーヒーが大好きでこの表紙にひかれたのが始まりですが、読み終わった後、とてつもなく後味が悪いところも、この本が大好きな理由です。(笑)
ミステリー好きならば、必ず好きになる一冊間違い無し!!
是非ともご覧ください!!
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「硯の中の地球を歩く」 著 青柳 貴史
2019/09/25(Wed)
図書館アルバイトMです。今回は、TVでも紹介された硯製士青柳氏の著書を紹介。

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「文房四宝」という言葉。それは古来中国から紡がれてきた伝統。筆、紙、墨、そして硯。
これらの文房具は、中国歴代文人たちに愛され続け、その中でも硯は特筆して好まれてきました。
某鑑定番組でも高値の評価額がつけられるといいます。
 中国の硯石の産地でもある端渓には爛柯山(らんかざん)を中心に端渓硯(たんけいけん)と端石硯の原料でもある原石が産出されます。この石の性質は、凝灰岩の良質な原石です。この地で採掘できる原石の中で特に最高峰の質をもつのが、老坑とよばれます。老抗とは、唐の時代から採掘された古硯のことをさし、現在も端渓で採掘されているのは、麻子坑とよばれるもの(それも古硯の一つ)。端渓硯(たんけいけん)は1300年前から採掘され続け、多くの文人たちが愛してきました。端渓硯で墨をすると、とろとろしたまろやかさがあるといいます。
 
 硯には石の性質によってする墨に変化を与える力があります。現代においては墨を使って文字を書くことの機会が減少していますが(墨汁などの台頭)、中国、日本をはじめとする東アジアでは自然物から生成される究極の道具を使って言葉、文字が紡がれてきました。そうした意味合いでは、現代人よりも古の人々が自然と一体となって日々を過ごしていたことにうなずけるように思えます。

 本書は製硯士・青柳貴史氏が自然に生きる石を求めて中国、日本中を巡る。北海道に現存する石も登場します。製硯士の仕事や生き様までもが垣間見えます。(職人の頑固さ変わったところなども 笑)
 3年前、私が台湾・台北にある書道用品店を数店巡ったとき、紙や墨とは格段の扱いで店頭に並ぶ硯を見て、感動を覚えました。書道をする人にとって、文房具の選別は切り離せないものです。

 書道に興味が無い人でも、私たちは日頃「書く」という行為をしています。
現代においては文房具の発達により、鉛筆、ボールペンなどの硬筆と呼ばれる筆記具が私たちの「書く」行為を支えており、毛筆で書く機会は減少しています。
 「書く」ことの原点はこの「文房四宝」に在るといえるのではないでしょうか。そのことが頭の端にあるだけで、文字を「書く」楽しさや親しみを感じられます。
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フランク・マコート 『アンジェラの灰』 1996年(日本語版1998年)
2019/08/26(Mon)
今年の夏は少しだけ夏らしかったですね。 皆さん、元気でお過ごしですか!?
 図書つぶ、2回目の担当、図書館事務の木村です。
 
 さて今回は、フランク・マコート著『アンジェラの灰』を紹介させていただきます。

アンジェラの灰

 伝記部門で1997年度ピュリッツァー賞受賞
 な~んて書くと難しい本かと思う人が居るかも知れませんが、そんな事はありません。
 主人公は1930年生まれですから、皆さんのお祖父さん位の世代かな。4歳から19歳までの思い出話なのですが、一言で言えば「貧乏!」。それも半端じゃありません。表紙に作者の子供時代の写真が写っていますが、靴を履いていません。外で裸足なんです。
 お父さんが働かなくて、偶に働いても給料全部、果ては失業手当から親戚から贈られた子供の出産祝いまで、お酒の呑み代にしてしまう大変な人。お母さんが今で言う処の生活保護を貰ったり教会のお情けにすがったりで、なんとか子供達は飢え死にしないで済むのです。ですが、弟妹は病気には勝てずに死んでしまいます....。
 他にも悲しいエピソードが出て来るのですが、決して暗くならず、それどころか読んで思わず噴き出すようなユーモアを交え、先へ先へと読み進ませる、楽しい本です。
 最後になりましたが、作者はニューヨークの職業訓練校(教師なんてオヤツ代わりに食べてしまい、食べ滓を床にペッと吐き出すような怖い生徒の集まりらしい)で英語の教師をした事のある人。デトロイトへ行って車を作るほうが金になるけれども、学校の先生になる道を選んだ人です。その辺りの葛藤は続編『アンジェラの祈り』に書かれています。
 DVDアンジェラの灰 indexこれから教師になろうと思っている皆さんに、是非とも読んでもらいたい1冊です。


PS:ちなみに映画化もされてるよ。⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒
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